徒然なる哲学日記

徒然なる哲学日記

日常生活の出来事にたいする考察(セネカの倫理書簡124通の英訳からの訳を公開してます)

2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧

セネカ 倫理書簡74 世俗的な喜びから逃れるための美徳について

1. 君の手紙は僕に喜びを与え、怠慢から呼び覚ましてくれました。また、長らくの間、鈍く無気力になっていた僕の記憶力を刺激してくれました。 親愛なるルキリウス君、幸福な人生に達するための最も良い方法は、立派なものこそが唯一の善だと信ずることであ…

セネカ 倫理書簡73 哲学者と帝王について

1. 哲学に身を捧げる人達のことを、強情で反体制的で、行政官や帝王、あるいは公的な管理をしてる人々を軽蔑してると信じることは誤りであると、僕は考えます。というのも、これとは反対に、支配者ほど、哲学者にとって望ましい人はいないからです。それも当…

セネカ 倫理書簡72 哲学の敵としての実務について

1. 君が僕にお尋ねの問題は、以前は僕にとっては明確なことで、深く考える必要はなく、僕は全くそれに通じていました。ですが、しばらく僕はその記憶を試していないので、すぐに思い出すことはできませんでした。僕は、長く開かれなかったため中がくっついて…

セネカ 倫理書簡71 最高善について

1. 君は僕と広大な海を隔てて離れていることも忘れて、僕に特別な問いを立て続けています。しかし、助言の価値の大半はそれが与えられた時期に左右されるため、ある問題に関しての僕の意見が君に届く頃には、反対の意見のほうが優れている、という結果に必然…

セネカ 倫理書簡70 死ぬべき時について

1. 久しぶりに、君が愛するポンペイを見てきました*1。そうして青春時代の思い出へと再び引き戻されました。その地で若い頃にしていたことが今でもできるような、あるいはついさっきまでしていたような、そんな気持ちになりました。2. ルキリウス君、われわ…

セネカ 倫理書簡69 平穏と不穏について

1. 僕は君が居場所を変えて、ある所から別の所へと走り回ることは好みません*1。その理由は、第一にそのような頻繁な移動は不安定な精神の証だからです。そして、精神はそのような物見遊山や放浪をやめない限り、閑暇な生活を経て強固なものへと成長すること…

セネカ 倫理書簡68 英知と隠棲について

1. 僕は君の計画に賛成です。引退して閑暇な生活に身を隠して下さい。しかし同時に、君の引退をも、隠しておきなさい。これを行うにあたり、ストア派の教えにではないとしても、その先例に従うものであることがお分かりになるでしょう。しかし、君は彼らの教…

セネカ 倫理書簡67 不健康と、苦痛への忍耐について

1. ありきたりな書き出しをすると、少しずつ春らしい天気になってきています。しかし、暑い日になると予想される夏に近づいてはいるものの、まだ涼しさが続いており、まだ春という確信も持てません。この時期はしばしば、冬の天気に逆戻りしますから。いまだ…

セネカ 倫理書簡66 徳の諸側面について

1. 僕はつい先日、かつての学友であるクララヌス*1と数年ぶりに再会しました。彼が老齢であることは、言うまでもなくお分かりになるでしょう。しかし、虚弱で儚い肉体と闘いながらも、彼の精神は確かに健康で、力強いものだったと言いましょう。というのも、…