徒然なる哲学日記

徒然なる哲学日記

日常生活の出来事にたいする考察(セネカの倫理書簡124通の英訳からの訳を公開してます)

2023-03-01から1ヶ月間の記事一覧

セネカ 倫理書簡57 旅の試練について

1. バイアエからナポリに帰る時になって、僕は嵐になるのが容易に予測できたので、海路は避けようと考えました。けれども、陸路はどこも泥濘んでいたので、やはり船旅をしたのではないかと〔人から〕思えるほどでした。その日僕は、格闘選手の受ける運命の全…

セネカ 倫理書簡56 閑静なことと勉強について

1. 勉学のために引きこもる者にとって、閑静なこと以上に必要なものがあるとしたら、僕は死んだ方がましです!そら、あらゆる種類の騒音が僕の耳に鳴り響きます!僕が宿泊してる所は浴場の真上になります。自分の聴力を呪うほども大きな様々な騒音を想像して…

セネカ 倫理書簡55 ウァテイアの別荘について

1. 僕はちょうど駕籠に乗っての外出から帰ったところです。そして、座っていたのではなくまるで歩いて遠出したかのように疲れました。長時間運ばれるというのは辛いものですが、おそらくそれは自然に反することだからです。自然はわれわれに、自分自身で歩く…

セネカ 倫理書簡54 喘息と死について

1. 僕の病気は長い間治まっていましたが、突然それがぶり返しました。「何の病気ですか?」と君はお尋ねになる。君がそれを知りたいのはもっともですが、僕は本当に、何という病気か分からないのです。しかし、僕は或る言わば特別な病気に引き渡されました。…

セネカ 倫理書簡53 精神の過ちについて

1. 僕は何でも君の説得に応じます。ですから僕は、君に言われるまま船旅をしました。海が静かで穏やかになった時に出発しましたが、空はどんよりと曇っていて、いつもなら雨や嵐にすぐに変わるものです。それでも僕は、プテオリー*1と君の愛するパルテノメー…

セネカ 倫理書簡52 指導者を選ぶことについて

1. ルキリウス君、われわれを、目指してる所とは別の方向に引き込み、そこから離れたいと思っていたところにわれわれを駆り立てるこの力は何なのでしょうか?われわれの精神に反抗し、われわれが願うのを一度きりにすることを許さないのは何なのでしょうか*1…

セネカ 倫理書簡51 バイアエとモラルについて

1. 愛するルキリウス君、人は誰でも自分にできる限りのことをすべきです!君はあそこに、シチリアにそびえる最も名高い山であるエトナ山を持っています*1。(もっとも、メッサラ*2あるいはヴァルギウス*3が―—そのどちらもの本で僕は読んだのですが―—どうして…

セネカ 倫理書簡50 われわれの盲目とその治療について

1. 君が送ってくれてから何ヶ月も後に、君の手紙を受け取りました。ですから、君が今どんな状況か、届けてくれた人に聞くのは無意味だと思いました。彼がもしそれを覚えてるとしたら、彼の記憶力は大したものです!しかし、君がどこにいて何をしていようとも…

セネカ 倫理書簡49 生の短さについて

1. ルキリウス君、ある風景によって友人のことを思い出すというのは、確かに、怠慢で無精な人間の証でしょう。しかし、かつて訪れて親しんだ土地が、心の中に蓄えられていた思慕の念をかき立てます―—呼び戻すというよりは、記憶を休眠から覚まして。あたかも…

セネカ 倫理書簡48 哲学者にふさわしくない詭弁について

1. 旅の途中で君がくれた手紙への回答は―—旅と同じくらい長いものですが―—また後日お返しすることにしましょう。僕も引きこもって、君にどんな助言をするべきかを考えなければなりません。僕に相談する君の方でも、相談すべきかどうか長い間考えていたのです…