徒然なる哲学日記

徒然なる哲学日記

日常生活の出来事にたいする考察(セネカの倫理書簡124通の英訳からの訳を公開してます)

2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧

セネカ 倫理書簡91 ルグドゥーヌムの火災から得られる教訓について

1. われらが友人のリーベラーリス*1は今、悲嘆に暮れています。ルグドゥーヌム*2の植民地を焼き尽くした大火災の知らせを受け取ったばかりだからです。こうした災害はどんな人をも動揺させるものですが、自分の祖国を心から愛している人物にはなおさらでしょ…

セネカ 倫理書簡90 人類の進歩において哲学が果たした役割について

1. 誰が疑うことができましょうか、僕のルキリウス君。われわれが生きていることは不死なる神々の恩恵であり、善く生きることは哲学の恩恵であることを。哲学それ自体の恩恵*1を神々はわれわれに与えなかったのですから、善く生きることが単に生きることより…

セネカ 倫理書簡89 哲学の各部門について

1. 君が知りたいと望んでることは、英知に向かって急いでいる人にとって有益な事柄です。すなわち哲学を区分し、その巨体を個々の部門に分割することです。個々の部分を学ぶことで、われわれは全体をより容易に理解できるようになりますから。僕はただ、あた…

セネカ 倫理書簡88 自由な学問と職業の学問について

1. 自由な学問*1について僕がどう考えているかを知りたいと君はお望みです。僕の答えは次の通りです。僕は金儲けを目的とする学問は、尊重もしませんし、善いものとも考えません。そうした学問は打算的な技術であって、才知を訓練する限りにおいては有用であ…