徒然なる哲学日記

徒然なる哲学日記

日常生活の出来事にたいする考察(セネカの倫理書簡124通の英訳からの訳を公開してます)

2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧

セネカ 倫理書簡87 質素な生活を称えるいくつかの議論について

1. 僕は「船に乗る前に難破*1」してしまいました。どうしてそのようになったかは申しません。君がこれも、ストア派の逆説パラドックスの一つに数え入れては困りますから。しかし、君が聞きたいとお望みなら、いやお望みでなくとも、この逆説が決して間違いで…

セネカ 倫理書簡86 スキピオの別荘について

1. 僕は今まさにスキピオ・アフリカヌスの別荘*1で身を休めています。そして彼の霊と、偉大な勇士の墓であると僕に思われた祭壇に敬意を表した後で、君に手紙を書き送っています。彼の魂はもちろん、元の住処である天上に戻っていると僕は確信しています。そ…

セネカ 倫理書簡85 いくつかの無益な三段論法について

1. 僕は君に配慮して、まだ議論が終わっていない面倒な問題のことは、顧みずにおりました。僕は、幸福な人生を完遂するためには美徳それ自体だけで十分な証明になるという、われらが学派の見解の一端を君に与えただけで満足していたのです。しかし君は僕に、…

セネカ 倫理書簡84 思想の収集について

1. 君のおっしゃるような旅、つまりは僕の怠慢を振り払ってくれる旅は、僕の健康と勉学のいずれにも有益であると思っています。なぜ健康に良いかはお分かりでしょう。読書への情熱が過剰なあまり、体のことをなおざりにして無精になっていても、人のお陰で体…

セネカ 倫理書簡83 酔っ払いについて

1. 君は僕の、毎日のことについて、その全てを教えて欲しいと言いました。そして、もし僕が日々のことを君に隠し立てしなければ、僕に対し良い評価を下さるのでしょう。確かにわれわれは、そのように生きるべきです。あたかも全ての人に見られているかのよう…

セネカ 倫理書簡82 普遍的な死の恐怖について

1. 僕はもう君のことを心配することはありません。「どの神を、」君はお尋ねになる。「あなたは私の保証人と定めたのですか?」お伝えしましょう。誰も欺くことのない神。正しく善良なものを愛する神です。君のより善き部分は安泰です。運命が君に、害を加え…

セネカ 倫理書簡81 恩恵について

1. 君は恩知らずな人間に会ったと不平をこぼしています。もしこれが初めてのことなら、〔今までそうした人物に出くわさなかった〕君自身の幸運か、君の慎重さに感謝すべきです。しかしこの場合、慎重さは君を狭量にするだけです。なぜなら、君がもしそのよう…