徒然なる哲学日記

徒然なる哲学日記

日常生活の出来事にたいする考察(セネカの倫理書簡124通の英訳からの訳を公開してます)

2023-12-01から1ヶ月間の記事一覧

セネカ 倫理書簡107 宇宙の意志に従うことについて

1. 君のいつもの賢明さはどこに行ったのでしょう?物事を見極める鋭敏さはどこに?魂の偉大さはどこに?そんな些細なことに苦しめられたのですか?奴隷たちは、君が用務で忙しくしている時が、逃亡の好機だと思ったのです。さて、もし君の友人たちが君を欺い…

セネカ 倫理書簡106 美徳の実体性について

1. お手紙への返事が遅れたのは、僕が何かに忙殺されていたからではありません。そうした言い訳には耳を貸さないで下さい。僕には時間がありますし、その気になれば誰でも時間を作れます。用事に追われる人などいません。自分から用事に巻き込まれて、忙しい…

セネカ 倫理書簡105 自信をもって世界に対処することについて

1. より安全に暮らすために、君が注意すべきことをお教えしましょう。しかしこれは、あたかも君がアルデア*1の土地で健康を守るためにすべきことについての忠告のように思って聞いて欲しいと思います。 他者を害するよう人を駆り立てるものは何かについて、…

セネカ 倫理書簡104 健康への配慮と心の平静について

1. 僕はノメントゥム*1の別荘に逃れたのですが、それはなぜだと思いますか?都会から逃れるためでしょうか?いいえ、熱病、それも確実に忍び寄ってくる熱病から逃れるためでした。それは既に僕を捉えていました。医者は僕に、脈拍が乱れて不規則になり、自然…

セネカ 倫理書簡103 俗人と交わることの危険性について

1. 君の身に起こるかも知れないけれど、実際には起こらないかも知れないことを、どうして思い悩むのですか?つまりは火事や、建物の倒壊、その他の様々な出来事は、われわれを待ち伏せているのではなく、単に偶然に起こるだけです。それよりもむしろ、われわ…

セネカ 倫理書簡102 不死を教えてくれるものについて

1. 楽しい夢を見ている人を起こす人は迷惑なものです。夢ではあっても、現実のように思えていた楽しみを奪うのですから。それと同じように、君の手紙は僕を害しました。というのも、心地よい思索に没頭し、さらにその先に進もうとしていた僕を、不意に呼び戻…