徒然なる哲学日記

徒然なる哲学日記

日常生活の出来事にたいする考察(セネカの倫理書簡124通の英訳からの訳を公開してます)

2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

セネカ 倫理書簡80 世の中の欺瞞について

1. 今日僕は、自分自身のおかげというよりは、全てのうるさい人々を惹きつける拳闘競技*1の試合のお陰で、ゆったりと過ごしています。誰も僕を邪魔したり、思索の流れを阻む者はありません。僕の思索はその自信のゆえ、より大胆に進んでいるのです。戸が開く…

セネカ 倫理書簡79 学問研究の発見の報酬について

1. 君からのお手紙をお待ちしていました。それにより、君のシチリア島の周遊旅行でどんな新しい発見があったのかを知り、とりわけカリュブディス*1に関しての更なる知識が得られることを期待して。スキュッラが岩であり、船乗りには実際はさほど恐れられてい…

セネカ 倫理書簡78 精神の持つ癒しの力について

1. 君がたびたび鼻風邪の症状に悩まされ、長く慢性的に続く風邪の後にくる熱の断続的な発作に苦しんでいると聞いて、僕も心苦しく思います。特に僕自身もこの種の病気を経験しており*1、初期の段階では軽く見ていましたから。僕はまだ若いうちは、苦痛に耐え…

セネカ 倫理書簡77 自ら命を絶つことについて

1. 今日、「アレクサンドリア」船*1が突然われわれの眼前に現れました。通常、あらかじめ船隊の到着を知らせるために前もって送られる船です。それらは「郵便船」と呼ばれています。カンパニアの人たちはそれらを見て喜びます。プテオリー*2の群衆は皆ふ頭の…

セネカ 倫理書簡76 老年期に英知を学ぶことについて

1. 僕の毎日の行動を全て君に知らせないと、君は僕に怒って脅しをかけてきます。けれども、さあ見て下さい。君と僕は、どれほど率直な間柄で生きてるかを。なぜなら、僕は次のことをも君の耳に打ち明けるのですから。僕は或る哲学者*1の講義を聞いています。…

セネカ 倫理書簡75 魂の病について

1. 君に対する僕の手紙が、あまり詳細に書かれていないと君はご不満のようです。とはいえ、気取って話すつもりもないのに、事細かに書く人があるでしょうか?僕の手紙は、君と一緒に腰掛けたり、散歩したりしながら話す時のようにしたいのです。つまり自然で…