徒然なる哲学日記

徒然なる哲学日記

日常生活の出来事にたいする考察(セネカの倫理書簡124通の英訳からの訳を公開してます)

2023-09-01から1ヶ月間の記事一覧

セネカ 倫理書簡95 基本原理の有用性について

1. 君は一つ前の手紙(書簡94)で僕が、別の機会に論じると言った内容を先送りすることなく説明するよう求めています。つまり、ギリシャ人が「勧告的」と呼びわれわれローマ人が「教訓的」と呼ぶ哲学のこの部門が、われわれに完全な英知を与えるのに十分か、と…

セネカ 倫理書簡94 忠告の価値について

1. 哲学には個々人の事例に適切な教訓*1を与える部門があり、それは人間全体に与えられるものではなく、たとえば、夫は妻に対してどう振舞うべきか、父は子供をどう育てるべきか、あるいは主人は奴隷をどう扱うべきかといったことを教えます。僕が思うに、或…

セネカ 倫理書簡93 人生の長さと比較した際のその質について

1. 君が手紙の中で、哲学者メトゥロナックス*1の死を嘆き、彼はもっと長生き出来たとか、長生きすべきであったと言っていますが、人間や物事について語る時の君の公正さが、この一事に対しては他の全ての人と同じように、君に欠いているように見えたのを残念…

セネカ 倫理書簡92 幸福な生について

1. 君と僕は、次の点において同意できるでしょう。つまり、外的なものは肉体のために求められること、肉体は魂のために貴ばれること、そして魂の内にはわれわれに仕える或る部分が存在し、それはわれわれが活動したり生命を維持することを可能にし、われわれ…