徒然なる哲学日記

徒然なる哲学日記

日常生活の出来事にたいする考察(セネカの倫理書簡124通の英訳からの訳を公開してます)

パワハラ上司の詩【その2】

ああ、なんて使えない部下だ

俺の機嫌を察することができない

俺をもてなすことができない

俺に忖度することができない


なんて使えない部下なんだ


俺の部下に陰キャはいらない

会社で嫌われてる人とは仲良くしたくない

何故なら俺の株が下がり

俺が可愛い女子社員と「絡む」のに支障が出るからだ


発達障害じゃないか?あの使えない部下は

だとしたら勉強だけできて使えない人間だ

コミュニケーション能力がない人間はいらない

何故なら俺を可愛い女子社員がいる飲み会に誘うことができないからだ

絡むならイケてる社員がいい

話すなら運動経験豊富な部下がいい

そんな部下と絡むと女子社員の俺に対する評判も上がる

「課長、今度私達の飲み会に来ませんか?」

ムフフ、いい流れだ


ところがあの発達障害と思しき使えない社員はどうだ?曖昧な指示をする俺に忖度せずに、いつも勝手なことばかりしては俺を困らせる。無駄な相談を沢山持ちかけて、俺をイライラさせる。下らないミスを頻発するから、報告するたびに怒鳴りつけてやった。見ろ!彼は萎縮しロクに俺に話しかけることもできなくなっだ。はは。いいざまだ。連絡されるのもうっとおしいのだ。


全くこの使えない発達障害の部下はマトモにホウレンソウもできない。ホウレンソウというのは報告、連絡、相談のことで、これが出来ない部下はいらない。パリピの部下は例外だ。全ていい加減でいい。彼等はスクールカーストが高かった連中だ。いわば特権階級だから、多少の横柄な振る舞いは許されるのだ。だが発達障害の部下はそうではない。えたひにんに類する彼等はホウレンソウをしなければならないのだ。


全く発達障害の部下には話しかけらるだけでイライラする。恫喝するように受け答えしてやればいい。そうすればその内彼の方から自主退職をするさ。なんなら、ミスをでっちあげて始末書を書かせて減給するなりなんなりしてもいい。陰口や悪口も有効だ。女子社員の聞いてる前で、彼がいかに無能で使えなくてキモくてこの会社に必要ない人間かということを、論理的に分かりやすく語り合おうじゃないか。君とはうまい酒がのめそうだ。


この発達障害の部下の同期には可愛い子が多いな。そんな可愛い子は俺にこそ相応しいのだ。そうだ!この発達障害の部下の悪口をこの可愛い子と一緒に言って盛りあがう!そうすれば俺は、若くて可愛いピチピチの女子社員と一夜を共にすることができるかも知れない。なんていいアイデアだ!


これが妻子ある俺がこの下らない会社に毎日足繁く通う唯一の理由なのだ。弱者を叩き、それを女性に見て貰う時ほど心満たされる瞬間はない。己の性交の可能性が劇的に上がるこの瞬間ほど、俺の心が歓喜に満たされることはない。沢山の金を貰い、発達障害を叩き、可愛い子供と優しい妻がいることに心からの感謝を捧げながら、俺は女子社員に自分の強さをアピールする!アプローチする!そして発達障害を踏み台に、最高の男らしさを手にするのだ!何という幸福!何という快楽!


ああ、俺は生涯、パワハラによって自分の男を磨くことを、妻と幼い我が子に誓おうぞ!